首相、小沢氏側土地購入に「無理なことしている」

首相、小沢氏側土地購入に「無理なことしている」
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2010/01/27 01:35更新

記事本文 鳩山由紀夫首相(62)は26日の参院予算委員会で、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体陸山会」が土地を購入していることについて「他の議員では難しいと思うし、無理なことをしていると国民はみている」と述べた。首相が小沢氏側の土地購入に疑問を呈したのは初めて。前原誠司国土交通相(47)も「政治資金で不動産を買うべきではない」と語った。

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記事本文の続き 自民党西田昌司氏(51)は、小沢氏が個人の資金を使って土地を購入したと説明していることに対し「なぜ小沢氏自身ではなく陸山会を通じて買ったのか。所有者によって課税上の相違があり、相続税逃れとの疑いが非常に強い」と指摘した。

 総務省の田口尚文選挙部長は、不動産の所有を総務相に届け出ている資金管理団体が2008年末現在で陸山会のみであることを明らかにした。小沢氏は07年2月の記者会見で、陸山会名義の購入理由について「資産として活用する方が、献金してくれた人の意見を大事にし、有効に使う方法だ」と説明している。

 西田氏はまた、実母から計12億6000万円の資金を受けていた首相の偽装献金事件についても追及。首相は「いま国税において税務調査中だ。(昨年12月の)納税が認められるかどうかは今の時点では承知していない」と述べた。小沢氏に「戦ってください」と発言したことには「小沢氏が『断固戦う』という心に対し了としたのであり、撤回するたぐいのものではない」と撤回を拒否した。

■疑義答弁迷走 欠ける当事者意識

 26日の参院予算委員会では、鳩山由紀夫首相の資金管理団体をめぐる偽装献金事件が改めてクローズアップされた。首相は、実母から受けた資金提供の総額が12億6000万円であることを即答できないなど、当事者意識の欠如と政治資金に対する責任感の低さが露呈した。民主党小沢一郎幹事長(67)の資金管理団体政治資金規正法違反事件に関しても、小沢氏を擁護する場面が目立った。

■「26日…23日です」

 「2002年7月から09年6月まで月1500万円、母から贈与があった。トータルは計算していただければと思います」

 自民党西田昌司氏が実母からの提供資金総額を尋ねたのに対し、首相は即答できなかった。西田氏が「計算して知らせるのはあなたの責務だ」と問いつめても、指折りして数え始める始末だった。

 資金提供を知った日にちに関しても、「12月26日だったかと理解します…23日です」と言い直した。首相の元秘書2人が在宅・略式起訴されたのは12月24日。翌25日に首相は記者会見を行っており、26日に知ったということはあり得ない。首相自身が「決着した話」と主張している通り、すでに記憶も遠のき始めているかのようだ。

 また、首相は西田氏がいくら求めても、政治資金収支報告書を直ちに訂正することをかたくなに拒んだ。

 昨年7月3日に資産補充報告書の訂正を衆院事務局に届けたが、その後に判明した虚偽部分を修正していない。首相は「すべての資料が検察にある。正確を期すために公判が終わって、資料が手に入ったときに修正を行う」と、正当化してみせた。

 もっとも、この日の予算委で法務当局は請求があれば証拠品を還付することができると、刑事訴訟法が規定していると説明した。

 首相は実母から受けた12億6000万円の使途開示についても「公判後」としており、野党側は実態の解明を先延ばししていると批判を強めている。

■信頼回復、意欲なく

 首相は在宅起訴された元公設第1秘書(会計実務担当)の勝場啓二被告が資金を横領した可能性を問われると、「横領するような人物ではない。そのようなことはないと信じている」と答弁した。

 だが、首相は昨年11月の臨時国会で、親族からの資金提供について「ないと信じている」と答弁していた。25日の衆院予算委で政治資金収支報告書を「十数年見ていなかった」と明かした首相が、「信じる」との言葉を連発しても空疎に響く。加えて、西田氏が元会計責任者で略式起訴された芳賀大輔元政策秘書を現在も私設秘書として雇っている点を問題視すると、「大変有能な人材だ」と擁護した。

 小沢氏にかかわる政治資金規正法違反事件についても、首相は「国会で決めてほしい」と述べるにとどまった。民主党が独自に調査することも拒絶するなど、自ら信頼回復に向けて指導力を発揮しようという意欲は最後まで感じられなかった。(坂井広志)