「私」 > 「公」 by 舛添都知事

都によると、舛添知事が公用車で湯河原町を訪れたのは、昨年4月1日から今月11日までの約1年間で計48回。おおむね毎週金曜日の午後2、3時に都庁を出発しており、出先から直行したり、週明けに公用車が湯河原町へ迎えに行ったりする日もあった。

災害対応に不安
 都によると、知事専用車の利用範囲に明確な規定はないが、公用車の管理規則では使用目的を「公務を行うため」に限定。発着点のいずれかが公務に関する場所なら、距離や時間にかかわらず使用が認められるという。
 舛添知事は都庁や公務関係先からの帰宅時のほか、別荘から都庁などへの出勤時に使用しており、都は「自宅やホテルへの送迎と同じ運用」(担当者)で問題ないとの見解を示す。
 もっとも週末の別荘の滞在については、災害時の対応に不安が残るとの声も根強い。危機管理コンサルタントの田中辰巳氏は「災害時はトップの対応が半日遅れるだけで要救助者の命を左右しかねない。首都直下地震が近いといわれる中で、都民は非常に不安に思うだろう」と話す。


「自己規制を」
 東京都や舛添知事をめぐっては、昨年10~11月にロンドン・パリを訪れた出張費用が計約5千万円に上ったことが判明するなど、過去の海外出張費が高すぎるとの批判が相次いだ。今年3月に保育所不足に悩む新宿区の都有地を韓国人学校の増設用地として貸し出す方針を示した際は、都庁に「都民のために使うべきだ」との意見が多数寄せられた。

 「出張問題なども含め、一連の舛添知事の行動は“我欲”が強すぎる」と批判するのは、中央大の佐々木信夫教授(行政学)だ。
 「問われているのはルールを守っているかだけではなく、社会常識からみて妥当性があるかどうか」。佐々木教授はこう述べた上で、「公務をしつつプライベートを充実させたいということだろうが、組織のトップは自らの行動に問題がないかを常に問いただし、自己規制するのが本来のあり方。舛添知事は周りの意見を聞かなすぎるし、感覚がずれている」と訴える。

 宮城県知事を3期務めた浅野史郎氏は、「トップにはトップしかできない役割がある。規則や法律に違反していないとしても、遠く離れた場所に毎週末のように滞在しているのが望ましいとは思えない」と苦言を呈し、舛添知事にこう呼びかけた。

 「知事になれば行動が制約されるのは仕方ない。それを覚悟した上で知事にならないといけませんよ」

-----------------------------------------------------