【韓国旅行】店員の残飯を客に出す店があるのでご注意を!

新潟日報 連載記事 「生きづらさ」を生きる
(2012年12月28日)

韓国へ「解毒」の旅

時々、旅に出るようにしている。
なんとなく自分がささくれたり、心の中で舌打ちしてしまいそうな時、「私には旅が足りないのだ」と思う。

知らない国の風に吹かれ、知らない景色を見、知らない言語の中でほっつき歩きたい。

そうして旅先で騙され、ぼったくられ、日本語以外の言語ができない自分がいかに何もできないちっぽけな役立たずなのかを再確認したい。

そんな行為で、自分の中の毒素の前兆がみるみる溶けていくことを知っているからだ。

ということで、12月のはじめ、韓国に行ってきた。
女2人、ただただ韓国の美味しいものを食べまくった旅。
2泊3日の滞在で、1日6食、合計で20食近く食べた。

そんな韓国は、まさに「解毒」の旅だった。
なんといっても、韓国の人々が脱力しまくっているのが素晴らしい。
特に市場や屋台は「脱力人間」博覧会だ。

自分の店が営業中だというのにレジに突っ伏して熟睡しているお兄ちゃん、出前のご飯を食べているおばちゃん、果てはその場ではを磨いているおじさんまでいる。

「人からどう見られるか」とか「客商売だからちゃんとしなくては」なんて意識の欠片もない人たちの自由過ぎる振る舞い。

そんな中でも、初日に訪れた食堂は「客が最底辺」という揺るぎないポリシーに基づく営業方針を貫いており、非常に感銘を受けた。
まず、呼び込みはしつこいのに、いったん店に入るとおばちゃんは豹変。
ものすごく雑な扱いに変わる。
頼んだユッケジャンとイカ炒めは美味しかったものの、注文の時点で既にケンカ腰。
極めつけは、「お店の従業員たちの食事風景」だった。

店の一角で何人かがかわるがわる食事を取るのだが、なんだかそっちの方が明らかに美味しそうなのだ。
特に客に出す炊飯器とは別の炊飯器のご飯を食べていたのだが、店の人用の方が明らかに炊きたて。
そこまではいいのだが、食事後が問題だった。

店の人たちは食べ終わると、残ったご飯を当たり前のように「客に出す方の炊飯器」に投入。

食べ残した人は、みんな当然ように私達に出される方の炊飯器に余ったご飯を戻していく。

その光景を見て、私は感動に打ち震えていた。

少し前、日本では高級料亭が余った料理を使い回したなどとして問題になったわけだが、お隣韓国のこの店では、従業員の食べ残しのご飯が堂々と客に提供されているわけである。
しかも、何の悪気もなく。

かたや日本では、いつから「消費者こそが一番偉い」という価値観が幅をきかせている。
ちょっとしたことでクレームをつけたりする社会は、どうしたって殺伐としてしまう。

しかし、「お金を払って残飯を食べさせられる」という貴重な経験をして、思った。

世の中、なんかもっと適当でいいんじゃないかな、と。
少なくとも、私はこの現場を目撃して目くじらを立てるような人とはお友達になりたくない。

今日もあの店では、店の人の食べ残しご飯が出されている。
そう思うと、なんだか笑いがこみ上げてくる。
また韓国に行ったら、私はきっとあの店にいくだろう。
=第2・4金曜掲載=
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だってインスタントラーメンをこんな食べ方するお国ですから…



残飯から材料を使いまわすレストラン

 
 
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あ~びっくりした!!