食物連鎖に入り込む「スクラブ洗顔剤」の一部、米国で規制へ

 洗顔剤などに使われている微細なプラスティック粒子「マイクロビーズ」は、下水処理を通り抜けて食物連鎖に入り込む。州法で規制する動きが米国各地で出てきている。
マイクロビーズは、ポリエチレンやポリプロピレンで作られた球形の小さなビーズだ。サイズは0.004mmから1.24mmほど。Clearasil(クレアラシル)、Clean & Clear、L’Oreal(ロレアル)、Neutrogenaなど一部のメーカーによる、角質を除去するフェイスウォッシュやボディウォッシュ、練り歯磨き等の製品に入っている。
マイクロビーズは細かくて水にも浮くので、その多くが排水処理プラントをすり抜ける。下水処理施設で水を濾過する網の目は、マイクロビーズより大きいことが多いのだ。
下水処理施設を通過したマイクロビーズは、「毒性のある化学汚染物質を吸収するスポンジ」となる。そしてそれを、水生生物は食べ物だと間違えてしまうのだ。こうして、汚染物質が食物連鎖に入り込み、人間が食べるものも含めて、魚や鳥、カメ、哺乳類などが汚染される可能性がある
オランダの環境研究所(IVM)が行った2012年の調査(PDF)では、200ml容器のスクラブ製品ひとつにつき、最終的に21gのマイクロプラスティックが下水に流れこむことが確認された。ニューヨーク州だけで、毎年19トン近いマイクロビーズが下水に流されているとする研究(PDF)もある。
目が細かいトロール網を使って米国の五大湖で行われた2012年の調査では、マイクロプラスティックの小さな粒が多く見つかった。この粒は、ふたつの有名ブランドの洗顔クレンザーで使われているものに一致した。
五大湖では、収集された1mm未満のマイクロプラスティックのうち、58%が球形だった(球形は、コスメティック製品に由来するものである明白な証拠になる)。これに対し、北太平洋では、同じサイズのマイクロプラスティックのうち、球形のものは1%に満たなかった。2013年にはさらなる調査が行われ、多数のマイクロビーズがあることがまた確認された。
マイクロビーズを含むプラスティック片は欧州でも問題になっている。英国の海洋生物学会が2013年に行った調査では、英国南西部のプリマス沖で採取された魚の1/3にプラスティック片が見つかった(日本語版記事)。調査した504匹のうち36.5%から、摂取されたプラスティック片が見つかったのだ。調査チームによると、こうしたプラスティック片は、食物循環における汚染物質の蓄積につながるおそれがある(太平洋と大西洋(日本語版記事)には、膨大なプラスティック片が集まった「ゴミベルト(日本語版記事)」が存在し、問題になっている)。
ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン検事総長は、水域からマイクロビーズをなくすための州法「Microbead-Free Waters Act」の通過を呼びかけている。2014年2月に提出されたこの法律は、同州で販売される製品のマイクロビーズを規制するもので、成立すれば米国で初めてだ(カリフォルニア州でも同様の州法案が提出済みで、ほか数州で準備が進んでいる。日本の製品にも使われているが、規制はない)。
2011年、Procter & Gamble(P&G)、Unilever、Colgate-Palmolive、L’Orealらパーソナルケア製品の有力企業が、自社の製品ラインからマイクロビーズをなくしていくことを約束した。しかし、現在もまだ、マイクロビーズを含む製品は多数、店頭に並んでいる。
環境保護団体の「5 Gyres」は、洗顔料のボトルをスキャンするとその製品にマイクロビーズが含まれるかどうかを教えるアプリを提供している。以下は、5 Gyresサイトに掲載されている「海洋のプラスティック汚染」を啓発する動画。
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マイクロビーズ。
こわ・・。