朴大統領のコウモリ外交は限界に 米国の踏み絵「MOU」締結なら中国は反発

 日米の側に立つのか、中国にすり寄るのか-。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が、米政府から「踏み絵」を迫られている。25日の日米韓首脳会談に続き、日米韓3カ国で「軍事情報保護に関する了解覚書(MOU)」の締結を検討していることが発覚したのだ。米国との同盟は維持しながらも対中接近を模索する朴氏だが、日米による包囲網を前に“コウモリ外交”は限界に近づいている。

 韓国紙・朝鮮日報は24日、日米韓3カ国でMOU締結の動きがあると報じた。同日開かれた金●(=王へんに民)●(=夾の左右の人を百に)(キム・ミンソク国防省報道官の記者会見では、この問題に関心が集まった。

 「北朝鮮の核実験、ミサイル発射などの脅威に対応するため、友邦国の間で軍事当局間の情報共有が必要なのは事実だ」

 金氏はMOU締結について「現在は具体的に推進されていない」と火消しに務めたものの、政府内で検討していることを認めざるを得なかった。

 MOUは、秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐための枠組み。米政府が3カ国MOUを求める背景には、日韓2国間の秘密情報保護協定が、いつまでたっても締結されていないことにいらだちを強めている事情がある。

 日韓両政府は2012年に、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結することで合意。GSOMIAには「軍事」という言葉が入ることに韓国側が難色を示したため、「秘密情報保護協定」に名称を変え、同年6月29日に署名式を行うことまで決まっていた。

 しかし、同協定を結べば反日世論を刺激しかねず、韓国政府内での承認手続きが「密室決定」と批判されたこともあり、当時の李明博(イ・ミョンバク)政権は署名式当日になってキャンセルを通告してきた。朴政権に移行してからも、たなざらしのままとなっている。
 
こうした状態は、北朝鮮の核・ミサイルの脅威にさらされる日韓両政府にとって、安全保障上の損害をもたらす。

 李政権時代の金星煥(キム・ソンファン)外交通商相は「日本のイージス艦人工衛星を通じて、北朝鮮のミサイルなどに関する多くの情報を得られる」と前向きな発言。日本にとっても、12年4月に北朝鮮がミサイルを発射した際に、韓国軍の探知・追尾情報を直接得ることができず、米国経由となって発射確認が遅れた苦い経験がある。

 日韓双方の同盟国・米国は、韓国側にたびたび早期締結を要請している。今月19日には、米外交誌『ナショナル・インタレスト』(電子版)で「日韓が2国間情報協定を結ぶ道がないのなら、米国と3カ国協定を締結する可能性を模索するべきだ」と提言する論文が掲載されていた。

 だが、日米韓MOUが締結されれば、中国が反発するのは確実だ。

 中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は12年当時、「韓国に影響を及ぼせる手段を中国は数多く持つ。中国への非友好的な動きが止められないならば、中国はそうした手段を使って自らの立場を明らかにせねばならない」などと、露骨な恫喝を行った経緯がある。

 こうした事態は、対中経済依存を強め、対日歴史共闘も図る朴政権にとっては悩みの種だ。25日にオランダ・ハーグで開かれる日米韓首脳会談も対中包囲網と取られかねず、慌てて23日に習近平国家主席との中韓首脳会談を設定した。

 「韓日米首脳会談に先立ち韓中首脳会談を行うのは、歴史問題などで協調してきた中国に了解を求めるというメッセージが込められている」

 中央日報は24日、識者談話を引用する形で、第三国との会談すら中国の了解を得なければならない属国ぶりを解説した。

 著書『呆韓論』(産経新聞出版)がベストセラーとなっているジャーナリストの室谷克実氏は「米政府は純軍事的な観点からMOU締結を求めたかもしれないが、結果的には韓国が米国と中国のどちらを取るかの試金石になる」と指摘する。

 逃げ場を失ったコウモリは観念して墜落するのか、それとも、中国方面へ飛んでいくのか。
 
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こういう理由で、首脳会議を逃げ回っているのだね。