困るのは「魔法の財布」失う米国

さて日本の貿易赤字である。赤字が拡大すれば経常収支の黒字が縮小する。困るのは誰か。
 日本にとって、毎年の黒字が小さくなるが、日本で使われるカネではない。マクロ経済で見れば日本経済への影響はないだろう。困るのは「魔法の財布」がなくなる米国である。
 貿易赤字が更に拡大し、経常収支まで赤字になったらどうなるか。日本人の貯蓄で賄われている日本国債の暴落を心配をする人もいる。
 家計で考えてみよう。所得が減って家計が赤字になったら、まずは貯蓄を取り崩す。
 これを国際関係に当てはめれば、米国に預けてあった債権を取り崩すことだ。これは難儀だろう。しかし、見方を変えればチャンスである。赤字になったから支払いは貸金から引いてくれ、という交渉は成り立つ。
 国外に置いていた貯蓄が戻ってくれば、日本の経済にカネが回りだす。米国に預けていた「購買力」が返ってくるのだ。米国はいやがるだろうが、日本はいつまでもいい顔ばかりできない。いまから、新たな時代をイメージし「失われた貯蓄」の奪回作戦を考えておくことが大事ではないか。
 
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財務省が22日発表した2012年度上期(4~9月)の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は3兆2189億円の赤字となった。

 半期ベースでの赤字額は、統計が比較可能な1979年度以降最大で、赤字額が3兆円に達するのも初めてとなる。
 
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困るのはアメリカ。
アメリカの消費生活を支えてきた日本の黒字。
「あなた使う人、私働く人」。
債権者でありながら、督促できないとされた日本。
 
ようやく光が射してきたのか・・