「基軸通貨」は打ち出の小槌

先週の「株式日記」では中国の人民元や韓国のウォンについて書いてきましたが、中国や韓国が好き勝手に為替介入して輸出に有利な政策を行なっているのに比べて、日本は頑なに円高政策を守っている。ドルやユーロに並ぶ国際通貨であるにも拘らず円の国際化が進まないのは、日本政府が円の国際化を望んでいないからだ
 
円が貿易などで円で決済されるようになれば、円が基軸通貨化に近づくのですが、やはりアメリカに遠慮しているのだろうか? それに対して中国は人民元のアジア通貨圏の形成に着々と手を打って来ている。田村秀男氏の記事にもあるように、「マレーシア、タイ、台湾の通貨は今年に入ってから人民元に接近するようになった。」と指摘している。韓国のウォンもこれに歩調を合わせるようになって来た。
 
アメリカはこのような人民元通貨圏の結成に黙って見ているのだろうか? これは明らかにドルの基軸通貨制度に対する挑戦なのですが、中国はイラクのように叩き潰すわけには行かない。東アジア圏が人民元で決済されるようになればそれだけドルの存在価値がなくなり基軸通貨ではなくなる。このように見れば尖閣問題は日本と中国の問題ではなく、中国とアメリカの通貨戦争の最前線なのだ
 
偶然にも東京でIMF総会が開かれるのは48年ぶりという事ですが、中国の代表団は欠席するようだ。尖閣問題が理由と言う事ですが、為替問題では中国は為替自由化を認めていない。だから出てこないのだろう。中国はG7にも参加していないから中央銀行総裁や財務大臣が国際会議に出る事はなくアメリカの圧力を回避している。それに対してG20では数の力でアメリカに対抗しようとしている。
 
アジア諸国の通貨が人民元に連動するようになって来たのは、ドルから人民元への流れが生じている為であり、それだけ中国経済に頼る国が増えてきたと言う事だ。リーマンショック前はアメリカがアジア諸国から大量にものを買ってましたが今では中国が一番のお得意様だ。日本にとっても中国が最大の貿易相手国でありアメリカは相対的に市場として小さくなっている
 
アメリカが中国を敵視するように180度変わったのは地政学的な問題よりもドル基軸通貨に対する中国の挑戦的な政策が原因だろう。日本も田村氏の記事にもあるように、「野田佳彦政権はこの6月、人民元にとって初めての海外通貨との直接取引に応じ、人民元のアジア標準通貨化に手を差し伸べた。」とありますが、これはアメリカにとってはドルに対する挑戦だ。日本がドル離れを起こして人民元決裁権に組み込まれる。
 
石原慎太郎アメリカのワシントンで中国を挑発するような尖閣諸島購入すると言う発言は、中国に対する罠なのだろう。中国が尖閣に食らい付いてくればアメリカとしては中国を叩くチャンスが出来る。アメリカはドル基軸通貨制度がアメリカ経済の命綱であり、その特権を手放すつもりは無い。それに挑戦してきたイラクを叩きのめしたし、ユーロもギリシャ問題で崩壊寸前だ。今度は中国が挑戦してきましたが、尖閣がその決戦場になるだろう。
 
通貨の信用は経済力だけではなく軍事力などの裏づけが無いと弱い。日本の円が国際通貨になれないのは軍事力が無いためであり、中国が挑戦できるのは経済力ばかりでなくアメリカに対抗できる軍事力があるからだ。韓国も人民元に連動するようになって来たのは中国の通貨圏に組み込まれた事を意味する。アジアは世界の経済成長センターでありアメリカとしても黙って見ている訳には行かないだろう。
 
日本としてはアメリカと中国の通貨覇権戦争を黙って見ているしかない訳であり、中国が勝てば中国との貿易は人民通貨建てになるだけだ。タイやマレーシアや台湾は人民元に連動するようになりドルの影響は受けなくなって来た。これはIMFにとっても面白いはずが無い。アメリカはIMFを通じて新興国の金融支配をしてきたからIMFの権威もがた落ちだ。
 
日中韓のFTA交渉も進んできましたが、尖閣問題が起きてからは中断している。それに対して中韓の間でFTA交渉は進んでいるようだ。アメリカは国力の衰退で東アジアからも撤退していく以上は、ドルの基軸通貨も影が薄くなっていくのだろうか? しかしアメリカはカネの問題になると軍事力を行使してでも覇権を守ろうとするだろう。その場所は南シナ海尖閣諸島になるだろう。その為にオスプレイが沖縄に配備された。
 
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全ての筋道が通るような感じがする。
基軸通貨」。
 
日本は、ドルであろうと、人民元であろうと、あまり関係ない。
どっちになろうと関係ないように、為替操作をしていないのかも・・
 
アメリカは、ドルが基軸通貨であるので・・「ドル印刷機のおかげで簡単に借金を帳消しにできるのだ」そうだ。まるで打ち出の小槌を持っているのと同じ。
これを譲るはずがなし、軍事力をもっても手放さないであろう。
そのための尖閣問題であり、オスプレイ配備か・・。
 
日本としては、関係ないとはいっても・・
アメリカに打ち出の小槌を持たせておくのか・・はたまた、中国に打ち出の小槌を持たせるのか・・
ケンカができないように縛られているの、日本は小槌を取りに行くことさえできない・。