岡山の神社で狛犬の窃盗相次ぐ

 岡山県南の神社で昨夏以降、参道入り口に置かれた備前焼製の狛(こま)犬の窃盗被害が相次いでいることが25日、分かった。岡山県警捜査3課などは少なくとも7件確認しており、窃盗容疑で捜査。狛犬は「邪気を払い神を守る」という宗教的に重要な役割を担っているだけに、関係者は「罰当たり」と憤慨している。

 同課や岡山県神社庁岡山市)によると、狛犬の盗難は昨年7月から今月上旬までに倉敷市で3件、和気町で2件、岡山市備前市でそれぞれ1件発生。さらに、同様の被害を訴える相談が3件ほど県警に寄せられている。

 同課は古美術として転売する目的で、人目に付かない夜間などに車で運んだとみて目撃情報を集めている。同庁は今月、県内17支部に文書やメールで注意を呼び掛けた。

 倉敷市矢部の鯉喰神社では昨年12月、鳥居前の狛犬一対の片方がなくなっているのを近隣住民が見つけ、倉敷署へ被害届を出した。同神社の管理を担当する足高神社(同市笹沖)によると、狛犬は1900年代に設置されたとみられ、高さは約1メートル。台座の上にコンクリートで固定していた。

 今も引き剥がされた際に飛び散ったと考えられる破片が台座に残っており、足高神社の井上晃宮司(39)は「狛犬は宗教上欠かせないもので、100年以上にわたって地域を見守り続けてきた宝でもある。神を侮辱する行為は絶対に許せない。一日も早く返してほしい」と話している。
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