「500円金券」か「500円寄付」か…ベネッセが繰り出したまさかのお詫び作戦

ベネッセコーポレーションより重要なお知らせです」。
 こんな朱書きがされた封書がわが家に届いたのは、2週間ほど前のことだ。「ああ、例の情報漏洩(ろうえい)のおわびの件だな」と思い封を切ると、5枚の文書が入っている。
 そのうちの1枚「おわびの品について」によると、500円分の電子マネーギフト(楽天Edy、Amazonギフト、nanacoから選択)か500円分の全国共通図書カードを選ぶことができるようだ。ここまでは、事前の取材で予想された範囲。しかし次の一文を読んで、私は心底驚いた。
 「上記のおわびの品にかえて、別紙にてご説明しております『財団法人ベネッセこども基金』へのご寄付をお選びいただくことも可能です」
 一瞬、ベネッセを恨む何者かがベネッセをかたって私に送りつけたタチの悪い嫌がらせなのかと思った。とにかく、別紙「『財団法人ベネッセこども基金』について」を読んでみる。
 「今回の事態の重大性、広範囲にご迷惑をおかけしたことに対する弊社の社会的責任などを考慮して、おわびのあり方についてさまざまな検討を行って参りました。その結果、未来ある子どもたちへの支援や子どもたちが安心して学習に取り組める環境の確保などを目的として、『財団法人ベネッセこども基金』の設立を決意するに至りました」
 
 どうやら本気らしい。要は、「おわびとして500円をご用意いたしましたが、いらないのならウチの財団にその分を寄付してくれませんか」ということのようだ。失礼ながら「盗人たけだけしい」という言葉が浮かんだ。
 「経済的理由や重い病気等の困難を抱える子どもたちの学習や進学の支援」など、財団の趣旨自体は何の問題もない。しかし、どうしてもぬぐいきれないこの違和感は何だろう
 
 まず、引っかかるのが、募金先が「ベネッセの財団」ということだ。しかも、今回の件をきっかけ新たに設けられた財団なのだという。わび料は用意したけど(ベネッセによると対策費として総額200億円)、全部は必要ないかもしれないから、せっかくなら余った分は自分たちの受け皿に還元-というセコい計算がちらつくのは私だけだろうか?
 それよりも何よりも、本当に謝る気があるのかという、そもそも論に疑問を持たざるを得ない。
 ベネッセホールディングスは7月17日に開いた記者会見で、記者に「ベネッセは被害者なのか、加害者なのか」と聞かれ、原田泳幸会長兼社長が「お客さまにこれだけ迷惑をかけた点で加害者だと思っている」と明確に答えている。
 それなら約3504万件にのぼった情報流出の「被害者」一人一人に500円を配って歩くのが、本来の筋だろう。それが現実的でないと考えたからこその金券配布措置であるはずなのに、わざわざ「寄付」という選択肢を用意したことが、どうにも解せない。
 
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まるでギャグ。
 
罰金を払いながら、募金してくださいと手を出しているようなもの。