日本は戦争に負けたが、3千年の歴史と誇りを失ったわけではない。日本は再び立ち上がる。世界は再び日本に驚くだろう
昭和28年、中東のイランで起きた事件です。
福岡出身で出光興産創業者の出光佐三は28年4月、反対を押し切り、自社のタンカー「日章丸」をイランに差し向けた。船長は英海軍の包囲網を突破してイランに入り、たんまりと石油を積み込み、遠く離れた日本に、丸腰のまま戻ったんです。
この事件の資料を読んで体が震えた。全身汗びっしょりになった。
人間ドラマがすごかった。何よりすごいのが、計画を立案し実行した出光佐三です。これほどの男がいたのかと思った。銭儲けだけではない。日本のために戦ってきた男です。
敗戦から2日後の昭和20年8月17日、社員を集めてこう言いました。
「日本は戦争に負けたが、3千年の歴史と誇りを失ったわけではない。日本は再び立ち上がる。世界は再び日本に驚くだろう」
そして、海外から帰ってくる社員の1人もクビを切らなかった。社員は「もう一度出光のおっさんとやってみよう」と会社に残り、8年後、日章丸事件で世界を驚かせたんです。
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