「悪玉コレステロール」の概念 そもそも欧米には存在しない

「血圧147は健康か」──健康診断の基準について論争が続いている。かつて70万人を対象とした調査をもとに新健康基準を発表し、このたび『「血圧147」で薬は飲むな』(小学館刊)を上梓した東海大学医学部名誉教授の大櫛陽一氏が、コレステロール中性脂肪についても言及する。
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 現在の健康基準では「LDLコレステロール」(いわゆる悪玉コレステロール)は「60~119㎎/dl」であり、これよりも高い場合は「異常」と判断されます。中性脂肪も「30~149mg/dl」となっており、日本動脈硬化学会のガイドラインでは「150mg/dlよりも高いと異常とされ、300mg/dlを超えたら投薬」と定められています。しかし血圧同様、世界的にはこのようガイドラインこそが「異常」なのです。
 
 LDLコレステロール値に関して言えば昨年、国際的基準が「190」にすべて統一されましたし、中性脂肪に関しても6年前に「1000」という日本とはケタ違いに緩い基準がもうけられています。
 
 そもそも欧米には日本でいわれている「悪玉コレステロール」などという概念はありません。様々な研究結果で、コレステロール中性脂肪は数値が高い方が長生きをしているという結果が出ており、身体に必要なものとして認識されています。事実、アメリカでは「降下目標」も廃止されました。
 
 多くの方が気にされている「メタボ」に関するBMIの基準もおかしなところだらけです。日本のBMIは「18.5~24.9」とされていますが、国際基準で「肥満」とされるのは30以上。つまり、本来は「正常」とされている人が、ローカルルールで強引に「肥満」にされているという状況なのです。
 
 しかも、多くの研究で、最も死亡率が低いのは「25~26.9」。逆に高いのは「18.5未満」という結果がでています。つまり、日本では「メタボ」とされる方が長生きというまったく逆の結果がでているのです。
 
 飲む必要のない危ない薬を飲まされないためにも、「基準範囲」を参考にしていただき、医師の言葉だけではなく、自分の頭で考えて判断をすることをおすすめします。
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