集団的自衛権ネガティブ・キャンペーンに思う

msn産経の記事を見て驚きました。

【名言か迷言か】 思わず買ってしまった「東京新聞」2014.5.18 07:00

つい手が伸びた。「『戦地に国民』へ道」こう大見出しを掲げた16日付東京新聞の朝刊1面に、興味を持ったからだ。政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が報告書を提出し、安倍晋三首相が記者会見したことを報じたものだ。「どういう論理で、国民が戦地に行かなくてはいけないのか」 安保法制懇を担当している身として、不勉強を恥じながら、勉強してみようと思って買ったのだが、「なるほど!」と理解できるような説明を見いだせず、結局よく分からなかった。《以下略》



産経新聞東京新聞を批判しているのですが、このようなマスコミ同士の批判というのが少なかっただけに、いい傾向だと思います。

さて、本題は、日本における左翼系新聞社は、なぜかくも「集団的自衛権行使」を嫌がり、まるで「今にも日本が戦争をはじめる」かのような紙面づくりをするのだろうかという問題についてです。集団的自衛権行使の論議が、これから本格的に始まろうとしているときに、左翼マスコミは、最初から「結論ありき」で、「集団的自衛権は戦争のできる日本」というキャンペーンを貼ろうとしています。あたかも中国や韓国のキャチフレーズである「軍国主義の復活」という発言と軌を一にして、読者に悪印象を植え付けようとしています。

たとえば、朝日新聞のデジタル版を見ましても、集団的自衛権に関する記事はたくさんありまして、読売新聞と比較して、その量の多さには驚きます。朝日新聞は、集団的自衛権論議を「社運をかけた戦い」と位置づけたのだろうかと思えるほどの記事数です。

たとえば、こういう記事もあります。

集団的自衛権  首相会見、五つの疑問 朝日新聞)渡辺丘ほか 2014年5月17日

他国のために自衛隊の武力を使う集団的自衛権の行使などについて、安倍晋三首相は15日の会見で検討を明言した。しかしなぜ行使が必要なのか、首相の説明には様々な疑問が浮かぶ。五つの論点で読み解いた。1:若者たちを救えない? 2:憲法前文まで根拠に? 3:日本人が乗る米艦守れない? 4:戦争に巻き込まれない? 5:国民の信は問わない?《以下略》



ご丁寧なことに、普段は登録会員にしか見えない記事のはずである内容に、ここだけは直接アクセスできるようにしています。

とくに「4:戦争に巻き込まれない?」を見ますと、「行使を容認し、米国などの支援要請を受ければ、日本は戦争参加の決断を迫られることとなる。(山田明宏)」と、朝日新聞のいつもの主張である「戦争の道」を強調しています。


また、こんな記事もあります。

発言録 「集団的自衛権、必然的に徴兵制に」 民主・枝野氏 朝日新聞 2014年5月18日

枝野幸男民主党憲法総合調査会長:自分の国を自分たちで守ることについてはモチベーションがあるので、個別的自衛権を行使するための軍隊は志願兵制度でも十分成り立つ。しかし中東の戦争に巻き込まれ、自衛隊の方が何十人と亡くなるということが起きた時に、今のようにちゃんと自衛隊員が集まってくれるのか真剣に考えないといけない。世界の警察をやるような軍隊をつくるには、志願制では困難というのが世界の常識だ。従って集団的自衛権を積極行使するようになれば、必然的に徴兵制にいかざるを得ないと思う。(さいたま市のオープンミーティングで)



ここでも、枝野氏の発言をこれ幸いに利用して集団的自衛権行使容認を「戦争の道」になるとして、しかも「徴兵制」に結び付けて、反戦論議を巻き起こそうとしています。この論議には二つの思惑があって、女性に対しては「戦争反対」を、若者には「徴兵制反対」をそれぞれに印象付けることによって、集団的自衛権そのものに「悪」のイメージを付着させてしまおうという意図がはっきりと見てとれます。

実は、この女性層と若者層に朝日新聞が弱いということもこのキャンペーンの背景にはあるでしょう。若者層は新聞購読はあまりしませんし、女性層は上から目線の朝日新聞などには興味がありませんから、朝日新聞をはじめとす左翼マスコミには、世論誘導をする際には、どうしても意識しておかなければならない存在なのでしょう。

しかし、これだけの集団的自衛権ネガティブ・キャンペーンをしても、いまの時代は逆効果なのではないかと思います。かつての時代は、新聞メディアの主張が世論を動かし、選挙の時には「風」を吹かせましたが、現在ではテレビメディアが発達し、さらにはインターネット環境が広がってきた環境下にあっては、新聞そのものの効果が期待されない時代となってしまいました。

さらに、左翼マス・メディアにとって、最大の問題点は、安倍総理の時代になって、安倍総理が直接国民に語りかけるようになったということです。いままでの自民党政権にしろ、民主党政権にしろ、国民目線にたって、国民に理解を求めるという記者会見はなかったのではないでしょうか。特に印象深いのは、靖国神社参拝時の記者会見と今回の集団的自衛権に関する記者会見です。このふたつとも、安倍総理が国民へ思いを伝えるという記者会見でしたから。

調べてみましたら民主党時代歴代首相の記者会見も何度もありましたがあまり印象に残っていません。おそらくは、「言葉」に力がなくて、単なる説明だけをしていたからなのでしょう。「日本という国家をこのように引っ張っていく」、「国民の生命と財産を守るという」という責任感と自覚がなかったから印象に残らなかったのでしょう。その点が安倍総理と違うところです。

このような観点から考えますと、左翼マスコミにとっては、集団的自衛権論議が行使容認の方向に国民の意識が動いてしまいましたから、その振り子を反対側に戻すために、嘘でも何でもいいから「反対」にもっていくための印象操作をなりふり構わずやるしかなくなったわけです。

でも、いくらそうやっても、振り子は反対側にはふれません。理由は二つあって、日本国民もマスコミには騙されなくなったことが第一点にあります。左翼マスコミの言い方は「詐欺商法」と同じ、人の心の不安や不満につけこんで金品を奪ってしまうやり方と同じだからです。それと、第二点目には、かつての「平和憲法反戦平和」だけを唱えていればよかった時代とは国際環境が変わりすぎているからです。

現実を見れば、帝国主義中国の脅威、また、韓国や諸外国での異変が起きた際の邦人保護のことを考えるなら、集団的自衛権の行使は日本人としての生存を確保するためには絶対に必要なものとわかるものです。これを「戦争に通じる」とかいう愚かな論理にすりかえることこそ、中国からの侵略を招くものとなり、また、諸外国で生きる邦人の生存権を破壊する犯罪行為だといえるでしょう。ある意味では、左翼マスコミは、「刑法第2編第2章に内乱に関する罪」に該当するのかもしれません。つまり、オウム真理教と同程度だということなのです
-------------------------------------------------------------------------------