対馬でやりたい放題… 韓国人客増加「漁師にとってはマイナス」

長崎県対馬の漁民を取り巻く自然環境と人的環境が日に日に厳しくなっていることはすでに報告したが、それに輪をかけて漁民を悩ませているのは韓国人らによる違法行為だ。
 厳原(いづはら)町漁業協同組合の二宮昌彦組合長(55)は、韓国人観光客が年々増えていることに、ある程度の経済的効果を認めながらも、「漁師にとってはマイナスだ」という。
 
 観光客に交じって来島する何万人にものぼる釣り客が問題で、外国人による撒(ま)き餌を禁止している「外国人漁業の規制に関する法律」(外規法)を破るケースが横行しているというのだ。
 
 二宮組合長によると、海底に残った餌が岩に付着して海藻がはえなくなるなど、自然環境に影響が出るほど過剰な撒き餌が行われているという
 
 「水産庁に外規法を厳しくして取り締まる機関を作ってくれと言いよるとですよ。でも、外国人の魚釣りの件は地元で調整してくださいという感じ。国自体が調整をしきらんのに、地元が調整しきるわけがないじゃないですか」
 二宮組合長はさらに、たたみかけた。「韓国に気兼ねをしてなのか、反対に外規法を取っ払うみたいな話があるようです。もし、外規法をなくした場合、韓国人の釣り客はもっと押し寄せてくるでしょう」
 一方、漁業不振で漁に出るのをやめた漁師の中に韓国人釣り客の違法行為を手伝う者も出てきたという。
 二宮組合長によると、対馬にはこれまで、韓国資本で遊漁船を営む7つの業者があったが、厳原町漁協の中からも昨年だけで組合員4人が遊漁船の許可を取得し、韓国人釣り客の水先案内人をしているという。
 「韓国人を案内した方が確実にお金になるでしょ。これからも増えますよ。もし、外規法がなくなるような事態になると、間違いなくもっと増えますね。いずれ、漁師がいなくなってしまうか、韓国に雇われるようになってしまう
 まさに踏んだり蹴ったりの状態が続いているのだ。
 
 ◆巻き網漁被害も
 対馬漁民の足を引っ張っているのは、韓国人釣り客だけではない。
 対馬市議会の作元義文議長(64)は、対馬以外の地域から来る日本の漁船の大がかりな巻き網漁による被害も大きいと訴える。
 作元議長によると、巻き網漁は大臣許可が必要。対象は、昭和30年ぐらいまではアジとサバとイワシだけだったが、その後、魚種に「その他の項」が入り、今ではタイ、ブリ、マグロも取るようになったという。
 「対馬は一本釣りと定置網とイカ釣り、あとはマグロの養殖とか、自然を守る漁法ばかりや。(巻き網漁は)船も網もどんどん大きくなり、設備もハイテクになっているのに、法律は昔のまま。巻き網で取る数量を決めるとか、時期を決めるとか、見直してもらわないと
 マグロの養殖と一本釣りを中心に漁業を営む吉村元嗣さん(63)も「大手水産会社の子会社みたいな立場でやってきては、ごっそり取っていく。ところが政府は何ら手を打とうとしない。やりたい放題ですたい。巻き網をやめん限りは本当の資源の回復にはならんと思うとるとです」と声を荒らげた。
 ◆漁業が安保直結
 海は、いつ何時、他国からの不法侵入など不測の事態が勃発するか分からない危険性もはらんでいる。
 45年間、イカ釣り業を営む築城哲則さん(63)は「今は見かけないが、過去には不審船を多く見かけた。外国船が動かないで同じ所に止まっているんですね」という。吉村さんも「韓国の漁船も以前のように頻繁ではないが、来ますよ。10年前から20年前はひどかったです。日本の警備艇や韓国の警備艇が来ると、逃げるとです」。
 市議会の国境離島活性化対策特別委員会委員長の長信義市議(64)は、こう警鐘を鳴らした。
 「魚が取れない上に、燃料が高いというダブルパンチで、漁に出られないという現実がある。さらに韓国人釣り客らの違法行為がある。(漁師が)沖に出きらんから、国境に面している島がこのままでは危ないですよと、私たちは言いよるわけですよ。沖に出て不審船や何かを見つける役割を果たしているのは実は漁民なんです。漁師が沖に出られないとなると、無防備になる。海上保安部の代役をしてきたのが実は漁民なんですよ
 漁民は安全保障の“目”であり、漁業不振は安全保障に大きな影響を与える危険性をはらんでいるのである。(宮本雅史
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島国日本の守り神だね。