特定秘密保護法のこと

平成8(1996)年12月17日の夜のことです。
ペルーの首都リマにある日本大使公邸で、恒例の天皇誕生日祝賀レセプションが行われていました。
会場に集まっていたのは、日本の青木大使をはじめ、大使館員やペルー政府の要人、各国の駐ペルー特命全権大使、日本企業のペルー駐在員ら約600人の男女と子供です。

午後8時過ぎ、この会場にペルーの左翼過激派14名が乱入し、集まっていた人々を人質にとり、大使公邸に立て篭りました。記憶に新しい方も多いかと思います。
「在ペルー日本大使公邸占拠事件」です。

この事件の解決には、まる4ヶ月がかかりました。
最終的には、翌年4月22日に、ペルー海軍の特殊部隊などが日本大使館に突入し、犯人グループ全員を射殺、最後まで拘束されていた人質を救出しました。
しかし残念なことに、このときの銃撃戦で、突入部隊の2名の方が犠牲になっています。
 


当時、事件の模様、そして突入戦の模様は、全世界にテレビで生中継されました。
この事件は、それだけ世界中の注目を集めた重大事件だったわけです。

さて、ではこの事件、なぜ解決までに4ヶ月もかかってしまったのでしょうか。
その理由は2つあります。

ひとつは、この事件の部隊が、ペルーにとって「外国の」大使館が犯罪発生場所となったことです。
基本的に外国の大使館内は、治外法権の「外国」の敷地です。
そこへの軍の侵入は、領土への侵犯行為にあたります。
つまり、この事件のとき、ペルーは突入にあたって、日本との突入作戦に関する調整が必要だったのです。これが第一の理由。

ふたつめは、その調整が「できなかった」、ということです。
できないからこそ、穴を掘ったのです。

どういうことかというと、日本とペルーには、通常の国交があります。
ところが、日本には捜査情報や突入作戦に関する軍事行動についての、情報の守秘体制がありません。
つまりペルーが事件の解決のために何らかの行動をしようとして、その情報を日本に伝えれば、その行動に関する詳細情報は、日本国政府を経由して、メディアに筒抜けになり、そのメディアを通して、情報がテロリストたちに筒抜けになってしまうのです

これは重大な問題であり、かつ危険なことです。
人質の側にも、救出側にも、それぞれに多くの人命がかかっているのです。
それだけに、突入作戦の詳細は、相手方に対しては、完全に秘密でなければなりません。
手の内がテログループに筒抜けになっているような状態では、救出作戦もなにもあったものではない。
あたりまえのことです。

ところが、日本国政府にはその守秘義務がありません
スパイ防止に関する法律もない
機密漏洩に関する罰則もなければ、それについての責任の所在も明らかでない。
つまり、当事者国である日本は、ペルー政府からみたとき、情報が筒抜けになる危険を持った国だということなのです。

ところがその日本の大使館が舞台となり、天皇誕生日のレセプションに出席した世界中の要人600名が人質となり、しかもそのうち200名は女子供です。

ペルー政府は、どうしたら良いのでしょうか。
場所はペルーであっても、日本の大使館の中は、いわば外国(日本)です。
そこへの特殊部隊の侵入は、国際法的には日本に対する軍事侵攻の意味を持ちます。
部隊の突入には、日本国政府の協力が不可欠です。
けれどその日本国政府は、情報を保全できない。
もっとわかりやすくいうなら、特定秘密を保持できない

法がないのです。
日本側にも、解決案がない。
あるとすれば、超法規的措置による軍事征圧ですが、その決断を日本国政府は、つけることができない。
時の政権は、橋本内閣でした。
困りきった橋龍総理が、このときとった唯一の方法が、木村屋のあんぱん120個を差し入れることでした。
おかげで、この後当分、橋龍総理は「あんぱん総理」と揶揄された。

本来なら、人質解放のために、リスクを恐れずに上空から特殊部隊を降下させ、テロリストたちを強襲するのが世界の一般的なやり方です。
ところが現場には、日本のマスコミが多数おしかけてきている。
上空からの強襲をすれば、飛行機が動くし、その様子は逐一メディアによって報道されてしまう。

当然、その放送はテロリスト達も見ますから、彼らは、強襲を避けるために人質の殺害を図る。
人質に犠牲が出る。

日本にも、メディアにも知られずに、強襲の準備をするには、どのようにしたらよいのか。
そこでペルー政府が考案したのが、現場から遠く離れたところから地中にトンネルを掘り、部隊をいつでも突入させることができるように、秘密裏に準備をすすめる、というものでした。

結果、事件の解決までに4ヶ月もかかってしまったのです。

つまり、なぜ事件の解決に4ヶ月もかかったのかといえば、日本に秘密を保持し守る能力がなかったからだというのが、事実だったのです。

ペルー政府は、この事件対策のために、米国に支援協力を求めました。
ですから、事態の進展や、大使館内部に関する情報は、逐次、米国とペルーは共有していました。
けれど当事者国である日本は、その情報がから、「かやの外」にされていたのです

誘拐事件をあらためて例にとるまでもなく、人命の絡んだ重大事件においては、犯人グループに対して、コチラ側の情報が絶対にわたならないようにするというのは、あたりまえの常識です。
けれど残念ながら、日本にはそのあたりまえの常識、つまり、秘密を守るという常識がないと、実は、日本は世界から、そのようにみなされているわけです。

どんなに日頃仲の良い友達であったとしても、大事な秘密を守れないような友達なら、信用はされません。
国家と国家の付き合いでも同じです。

いま、日本に対して、特ア三国が、露骨な軍事干渉をしてきています。
その特ア三国の軍隊が、いま、この瞬間にどのような動きをしているのか。
これについて、米軍は詳細な情報収集を行っています。

けれど!
米軍が日本国政府に対して提供できる情報は、マスコミに流しても構わない程度の情報に限られていた、というのが、戦後の日本の状態であったのです。
そんな状態で、日本が世界から信頼されるパートナーとしての国になれるのでしょうか。

特定秘密保護法案が、今国会でようやく成立しました。
メディアは、一斉に、反発していました

けれど不思議なことに、いつもこうした場合には必ず「世界では・・・!」と諸外国の例をあげるメディアが、この特定秘密保護法に関してだけは、諸外国の情況については、一切の解説も報道もありませんでした。
つまり、外国ではあたりまえのことを、意図的に歪めて報道をしていた、からです。
ねずさんのひとりごとより引用
 
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知りませんでした・・。
 
日本は、こんな体たらくだったのですね。
 
きっと、マスゴミにお勤めの方も知らないのでしょう・・