民主党政権の特徴は、選挙で約束したことはやらずに、余計なことを先に行おうとすることだ。消費税増税が典型だが、「女性宮家」創設構想もそうだ。
宮内庁の羽毛田信吾長官は10月初旬、野田佳彦首相と直接会い、独身女性皇族が結婚後も皇族のままいられるよう、皇室典範を変えるよう要請した。政府も、官僚からなる勉強会を設置して検討を始めた。
確かに、現在の皇室には皇太子さま、秋篠宮さまの下の代は男子が悠仁さまお1人のみだ。皇室典範では、女性皇族は民間人と結婚されれば皇室を離れる。やがて皇族は悠仁さまお1人になることが予想され、それを回避するために女性宮家を創設しようというのだ。
しかし、この問題は、宮内庁や政府が考えているほど簡単なものではない。何より、女性宮家を1代限りとするか、世襲にするかで性格は大きく変わる。1代限りなら、将来天皇になられる悠仁さまをお支えする存在ということになるが、それでも、配偶者やお子様をどう処遇するかという問題が生じる。
世襲とすれば、お子様は、男女を問わず、母方の血筋が天皇につながる「女系」の皇族となる。そして、この「女系」のお子様に皇位継承権があるとなれば、初代の神武天皇以来、一貫している「男系継承」という皇位継承原理が変更されることを意味する。
実は、女性宮家の創設は6年前の小泉内閣時の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書でも提言された。このときは同時に女性天皇・女系天皇の容認を提唱し、国論を二分する大論争となったが、女性宮家創設も本質的には女性天皇・女系天皇容認と変わらない。
現在の皇室の範囲内だけ見ていると、皇族の数を増やすのは女性宮家創設しかないように思える。
しかし、皇族の数を増やしたり、皇位継承者を得るに当たって伝統的に用いられたのは、神武天皇以来の男系の血を正しく継承する他の血統の方々に皇族の身分に戻っていただいたり、皇位継承者になっていただく手法だ。
江戸中期の後桃園天皇が亡くなった際に身近に男系男子がなく、天皇から見れば曾祖父の弟の孫に当たる閑院宮家の祐宮殿下が皇位を継承した。光格天皇だが、その直系が現在の天皇陛下だ。
皇位は初代から預かった公のものであり、自分たちの血筋が男系でつながらなければ、他の男系の血筋に継承してもらおうという発想が背景にある。現在でいえば、戦後まもなくGHQの指導によって皇籍離脱を余儀なくされた旧11宮家の男系の血筋を受け継ぐ方々の皇籍取得も検討されてよい。政府は日本の歴史を踏まえた解決策を考えるべきだ。歴史破壊は許されない。=つづく
宮内庁の羽毛田信吾長官は10月初旬、野田佳彦首相と直接会い、独身女性皇族が結婚後も皇族のままいられるよう、皇室典範を変えるよう要請した。政府も、官僚からなる勉強会を設置して検討を始めた。
確かに、現在の皇室には皇太子さま、秋篠宮さまの下の代は男子が悠仁さまお1人のみだ。皇室典範では、女性皇族は民間人と結婚されれば皇室を離れる。やがて皇族は悠仁さまお1人になることが予想され、それを回避するために女性宮家を創設しようというのだ。
しかし、この問題は、宮内庁や政府が考えているほど簡単なものではない。何より、女性宮家を1代限りとするか、世襲にするかで性格は大きく変わる。1代限りなら、将来天皇になられる悠仁さまをお支えする存在ということになるが、それでも、配偶者やお子様をどう処遇するかという問題が生じる。
世襲とすれば、お子様は、男女を問わず、母方の血筋が天皇につながる「女系」の皇族となる。そして、この「女系」のお子様に皇位継承権があるとなれば、初代の神武天皇以来、一貫している「男系継承」という皇位継承原理が変更されることを意味する。
実は、女性宮家の創設は6年前の小泉内閣時の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書でも提言された。このときは同時に女性天皇・女系天皇の容認を提唱し、国論を二分する大論争となったが、女性宮家創設も本質的には女性天皇・女系天皇容認と変わらない。
現在の皇室の範囲内だけ見ていると、皇族の数を増やすのは女性宮家創設しかないように思える。
しかし、皇族の数を増やしたり、皇位継承者を得るに当たって伝統的に用いられたのは、神武天皇以来の男系の血を正しく継承する他の血統の方々に皇族の身分に戻っていただいたり、皇位継承者になっていただく手法だ。
江戸中期の後桃園天皇が亡くなった際に身近に男系男子がなく、天皇から見れば曾祖父の弟の孫に当たる閑院宮家の祐宮殿下が皇位を継承した。光格天皇だが、その直系が現在の天皇陛下だ。
皇位は初代から預かった公のものであり、自分たちの血筋が男系でつながらなければ、他の男系の血筋に継承してもらおうという発想が背景にある。現在でいえば、戦後まもなくGHQの指導によって皇籍離脱を余儀なくされた旧11宮家の男系の血筋を受け継ぐ方々の皇籍取得も検討されてよい。政府は日本の歴史を踏まえた解決策を考えるべきだ。歴史破壊は許されない。=つづく