ビデオ流出 民主、責任論に戦々恐々 なりふり構わぬ国交相擁護

ビデオ流出 民主、責任論に戦々恐々 なりふり構わぬ国交相擁護 
2010.11.12 23:29

このニュースのトピックス:民主党

馬淵澄夫国土交通相 尖閣諸島沖の中国漁船衝突時のビデオ映像流出事件を受け、閣僚や民主党幹部は12日、海上保安庁を所管する馬淵澄夫国土交通相の擁護論を繰り広げた。馬淵氏が引責辞任すれば、警視庁の公安関係資料流出問題を抱える岡崎トミ子国家公安委員長に飛び火する。さらに菅直人首相や仙谷由人官房長官らにドミノ倒しで責任論が広がりかねない。そう考えたようだが、何があっても誰も辞めない「無責任」政権への世間の視線はもはや凍てつくほど冷たい。(榊原智)

 「徹底した事実の究明が第一だ。再発防止策を講じることが最大の責務だという思いは変わらない」

 馬淵氏は12日の記者会見で流出事件での引責辞任を神妙な面持ちで否定した。

 ただ、どれほど責任を自覚しているか、疑問が残る。海上保安官が映像流出を名乗り出た10日、ある民主党議員が馬淵氏に励ましメールを送った。

 《がんばれー》

 《がんばりまーす》

 異様に明るい文面から自責の念はうかがえない。

 だが、参院は野党が過半数を制する。馬淵氏に対する問責決議案が参院に提出されれば可決する可能性もある。

それだけに閣僚らは馬淵氏の擁護に必死だ。仙谷氏は記者会見で、馬淵氏に対する批判について「政略的、政治的な発言もある。捜査は始まったばかりだ」と断じた。民主党は野党時代に、事件処理の不手際で新潟県警本部長が辞任した際、国家公安委員長の辞任を求めたが、整合性を問われても「今回の場合と同じかどうか」と開き直った。

 他の閣僚も、海上保安庁の規律の乱れを批判し、鈴木久泰同庁長官の責任を指弾したが、馬淵氏の責任問題には「答える立場にない」(玄葉光一郎国家戦略担当相)と口を閉ざした。

 昨年9月の政権交代後、民主党政権では閣僚らのさまざまな問題やスキャンダルが噴き出した。仙谷氏は政治資金流用疑惑、荒井聡前国家戦略相は事務所費疑惑が浮上。中井洽(ひろし)前国家公安委員長も女性スキャンダルが発覚したが、いずれも強弁して乗り切った。

 「政治とカネ」問題を抱える鳩山由紀夫前首相と前幹事長の小沢一郎元代表は職を辞したが、説明責任はなお果たしていない。そもそも菅首相参院選大敗の責任をなおあいまいにしたままだ。誰も責任を取らないナアナア体質こそが政治主導の「正体」なのか-。