【from Editor】あまりに見苦しい死闘

まさに。スローガンだけの政党ですね。

日本が劣化していると言った小沢さん。

その先頭を旗を振って走っている小沢さん本人が、劣化の元凶でしょう。

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【from Editor】あまりに見苦しい死闘
2010.9.10 07:29

このニュースのトピックス:from Editor

札幌市の大通公園民主党代表選の街頭演説を行い、握手する小沢前幹事長(左)と菅首相=9日午後 14日投開票の民主党代表選は、菅直人首相と小沢一郎前幹事長が党内を二分する戦いを繰り広げている。勝者は日本国の首相となり、敗者は政治生命さえ危ぶまれる。古代ローマの剣闘士さながらの死闘なのだから盛り上がらないはずはない。

 ところが一向に盛り上がらない。まったく胸がときめかない。テレビ討論を見ても白けてしまい、やがて失望感が渦巻く。

 参院選で「NO」を突きつけられた人物と、政治とカネの問題で「NO」を突きつけられた人物の争いだから、求心力に乏しい分、批判合戦になろうと予想はしていたが、それにしても見苦しい。

 菅陣営が小沢氏を「密室談合」「数の論理」「バラマキ」と攻撃すれば、小沢陣営は「官僚の言いなり」「公約違反」と応酬する。そもそもこれらは野党時代の民主党が、政権政党自民党に向けたフレーズではなかったか。

 両氏は代表選告示直前、鳩山由紀夫前首相を含めたトロイカ体制復活で合意しかけただけに、ますます違和感がある。人格を否定しかねない中傷をしたかと思えば、歯の浮くような台詞(せりふ)でエール交換するのも薄気味悪い。

 そうなってしまうのは、やはり政策論争がないからだろう。

 首相は「1に雇用、2に雇用、3に雇用」と主張はしていても、提示した政策は対症療法にすぎず、肝心の新成長戦略は見えてこない。財政再建路線は堅持する構えだが、参院選前に唱えた「第三の道」論はどこへいったのか。

 小沢氏がぶちあげる「補助金廃止と一括交付金創設」などは、どうにも中身がよくわからない。補助金をすべて地方交付税にするつもりなのか。「無駄を省けば財源はできる」と言いながら「仕分け」は否定する。年金一元化を唱えつつ、税制改革には触れない。

 しかも両氏とも勉強不足なのか、相手の政策への追及は甘い。普天間飛行場移設問題を含め外交・安保政策には踏み込もうとしない。定住外国人への地方参政権付与問題など国の根幹を揺るがす問題でも同様だ。

 結局、民主党は「スローガン」だけの政党だったのではないか。「政治主導」「地域主権」「国民の生活が第一」など言葉は踊るが、具体性に乏しい。国家観がはっきりしないので将来のグランドデザインも描けない。

 両氏とも「国難を乗り切るために」と口をそろえる。だが、国難に陥れたのはあなたたちではないのか。(副編集長 石橋文登