自殺と貧困から見えてくる日本 - 過労自殺へ追い込む長時間過重労働・人権侵害横行の職場環境

日本は、先進国で中国にもODAという多額の寄付金をあげている国。

それなのに・・

銀座やゴルフ場は、中国や韓国のお客様をもてなすしかない現実。

日本の買い物客は増えないどころか、若者達は次々と自殺していっている。

かといって・・

これは、過労だけが問題ではないことにコメントを頂いて、気がつかされた。

私は「過労自殺」が大きな原因だと目が奪われていた・・・

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自殺と貧困から見えてくる日本 - 過労自殺へ追い込む長時間過重労働・人権侵害横行の職場環境
2010年03月12日07時06分 / 提供:すくらむ

 一昨日の夜、反貧困ネットワークNPO法人ライフリンク共催のシンポジウム「自殺と貧困から見えてくる日本~生きていてもいい。つながりから広がる私たちができること~」に参加しました。

 鳩山首相に、長妻厚労相、福島自殺対策担当相が挨拶するということで、SPとテレビカメラが林立し、会場に入るときは持ち物検査まであって驚きました。でも一番の驚きは、なんと言っても日弁連会長に当選したばかりの宇都宮健児さん(反貧困ネットワーク代表)の挨拶でした。日弁連会長になって初めての公の舞台が反貧困の集会というのも宇都宮さんらしくて感激しました。

 シンポのメイン企画の前半は、自殺で父親を亡くした遺児や過労自殺で家族を亡くした遺族らの体験が語られ、涙なくして聞けませんでした。後半は、ライフリンク代表の清水康之さんと反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さん、精神科医香山リカさんによるシンポジウムで、きちんと紹介すると本が一冊できるぐらい内容の濃いものでした。(実際に5月に出版されるとのことですが、ブログでは速効で紹介できます!?)

 というわけで、今回は、夫を過労自殺で亡くされた女性の方の発言要旨と、過労死弁護団全国連絡会議の川人博弁護士の発言要旨を紹介します。(by文責ノックオンツイッターアカウントはanti_poverty)

 夫は会社に2度殺されました

 私の夫は過労自殺しました。夫は、飲食チェーンの店長として年間4千時間以上の長時間過重労働を強いられていました。無理なノルマを課せられ、懸命に働きましたが、左遷を言い渡されたことが直接の引き金となり、飛び降り自殺をしてしまいました。

 直後は、なぜ自殺をしてしまったのだと夫を責め、なぜ夫の自殺を防げなかったのかと自分を責める日々が続きました。1年ほど経過して、夫は過労自殺であるという問題に向き合うことができるようになりました。そして、必死に働いてきた夫の真実を証明したいと思い、労災申請しました。労災は認められましたが、会社側が認めなかったために会社への訴訟を起こしました。

 会社は、夫や私たち家族に問題があると言いつのり、死んでさえも名誉を傷つけられ、夫は会社に2度殺されたと思いました。10年以上かかって、やっと会社が謝罪し和解しました。しかし、亡くなった夫は2度と帰ってくることはなく、心の傷が癒えることはありません。私はこのようなつらい思いをする遺族をつくってはならないという思いで、「過労死を考える家族の会」で活動するようになりました。

 最近、急増しているのが若い世代の過労自殺です。一人息子を過労自殺で亡くされた親御さん、夫を過労自殺で亡くされた結婚して間もない女性や、赤ちゃんを抱えた女性などが私たちのところに悲痛な思いで相談に来られます。

 日本の過労死が大きな社会問題になって20年以上もたっていますが、国と企業は一向に、過労死・過労自殺に対し実効ある歯止めをかけようとしません。歯止めどころか、さらに過酷な労働環境を作り出し放置しているのが現状です。

 過労自殺は、長時間過重労働や深夜労働などが最も大きな原因なのに、寝ないで長時間働くことを賛美するようなマスコミさえあります。寝ないで長時間働くと睡眠障害になり、うつ病を発症して、自殺に至るケースが多いということを皆さんに知っていただきたいと思います。自殺は、その当事者が死を選んだわけではないのです。社会や職場が自殺へと当事者を追い込んでいるのです。

 日本社会にあるすべての職場を、まじめに働く人が安全に健康で働くことができる職場にしたい。人の命が大切にされる日本社会にしたい。そのために、過労自殺で家族を亡くした遺族として何ができるのかということを、私は課題にして生きています。

 日本経団連過労自殺なくすため
 職場から長時間過重労働や人権侵害の一掃をはかれ
 (過労死弁護団全国連絡会議・川人博弁護士)

 警察発表によると、1年間に約2,400人の方が仕事に関連した自殺であるとされています。私の実感からするともっと多いように思います。

 最近、相談を受けて取り組んでいる非正社員で働いていた青年がようやく正社員になれたのに過労自殺に追い込まれたケースです。

 青年は、食料品の販売チェーン店で働いていましたが、なんと6つの店長を命ぜられていたのです。6つの店の店長ですから、ほとんど寝る時間もなく青年は働くことになりました。毎日、毎日、本部から店の売り上げが悪いと叱責の電話が入る。そうした日々が続く中で、青年は精神的にも肉体的にも限界となり自殺に至ってしまいました。

 大学を卒業して就職した年に店長を命ぜられた女性のケースです。この不況の中で店の売り上げがなかなか伸びない。毎日のように売り上げの未達成を叱責される日々が続くなか、この女性も早朝から深夜まで働くことを強いられました。さらに売り上げが伸びないために、自分が店長をやっている店の品物を毎日のように自分で1万円近く買ってなんとか成績を良くしようとしました。しかし、精神的にも肉体的にも行き詰まり自殺に至ってしまいました。

 また、セクハラやパワハラが企業の中で横行しています。ある企業では、新入社員の歓迎会の席で、部長が女性の新入社員の胸を携帯のカメラで撮影して回るというようなことが行われていました。ショックを受けた女性は、うつ病を発症し療養生活に入り、自殺に至ってしまいました。

 残念ながら日本の職場には、こうした長時間過重労働や、セクハラ・パワハラなどの人権侵害が横行しています。そして、その背景には多くの労働者に貧困が広がっていることがあります。本当であれば、日本の財界、日本経団連は、こうした人の命さえ奪う長時間過重労働や人権侵害を職場からなくすために、実効ある取り組みをしなければならないのです。

 ところが、経団連前会長企業であるトヨタでも2006年に社員の過労自殺があり、現在の経団連会長企業であるキヤノンでも2006年に社員の過労自殺がありました。その社員が過労自殺に至る直前の1カ月は263時間の残業を強いられていました。

 将来のある青年たちが、次々と過労自殺で亡くなっていく。こんな企業に、こんな日本社会に未来があるはずがありません。過労自殺の予防のために実効ある取り組みを行えと、政府と日本経団連に訴えます。