米欧メディアが消費増税を迫る理由

どの国のメディアもよその国の国民の利害の根幹に関わる租税政策には口をはさまないのが普通だ。
日本や欧州のメディアが米国政府に対して「増税せよ」と迫ることなどありえない。

 ところが、最近の欧米系メディアはことあるごとに、日本の消費増税を予定通り実行せよと催促している。
日本の政治や言論界は「国際社会の声」に流されやすいので、海外の有力紙の論調に感化されやすい。

 増税に肩入れしてきた日経はウェブ版で英フィナンシャル・タイムズ紙(FT、アジア版)13日付の社説全文を翻訳して紹介した。FTは消費増税を「挑戦するに値するギャンブル」「さいは投げられた」として、安倍晋三首相の増税決断を先回りして褒めたたえる始末だ。
 


 同じ経済メディアの米ウォールストリート・ジャーナル紙や通信社のロイター、ブルームバーグも来年4月からの消費税率3%の引き上げが決まったと断定したり、「増税しないと日本国債日本株の相場が急落しかねない」とする市場エコノミストたちの見方をしきりに伝えたりしている。増税に慎重で、「10月初めに判断する」という安倍首相は国際包囲されてしまった。

 それにしても、欧米メディアがなぜこうも執拗(しつよう)に日本の増税を迫るのか
 
 
考えてもみよ、上記の欧米メディアはいずれもウォール街など国際金融市場の利害を少なからず代弁する。国際金融コミュニティーとして日本の増税が極めて望ましいというコンセンサスが裏にあるとみるべきだ。

 現に、米欧の国際金融マフィアが牛耳る国際通貨基金IMF)は日本の消費増税をせき立ててきたし、先進7カ国グループ(G7)、先進国に新興国を加えた20カ国グループ(G20)はIMFの意向に従う。7月下旬のモスクワG20財務相会議は、「財政再建よりも成長」を重視しながらも、日本には緊縮策の消費増税を求めるという奇妙な声明を発表した。

 グラフを見ればよい。日本は世界最大の外国向け資金の提供国であり、担い手は家計である。家計金融資産の多くは銀行など金融機関に預け入れられる。財務省は金融機関から円資金を調達して米国債に投資するし、金融機関自体も外国債券で資金運用する。対外金融資産はことし3月時点でリーマン・ショック直後に比べ、約1兆5000億ドル増えた。この規模は米連邦準備制度理事会FRB)が増刷したドル資金約1兆7000億ドルに迫るが、FRBマネーは紙切れであり量的緩和の縮小とともに消え去るのに対し、日本のカネは家計貯蓄という本物のマネーである。

 FRB量的緩和を縮小しようとする中で動揺する米欧市場は何よりもジャパン・マネーを欲しがる。日本は「15年デフレ」の間に家計は消費を抑えて現預金をためてきた。デフレ不況の国内では貯蓄が投資用に使われないので、余剰資金が海外に流れる。デフレを長引かせる日本の消費増税は米欧にとって死活的利益なのである。 (産経新聞特別記者・田村秀男)
 
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成る程・・
このデフレに、消費税増税だなんて、足を引っ張るような政策が
どういう訳で出てくるのかーと思っていたら
欧米がジャパンマネーをくすねていくためだったんだね。