忌まわしき水中毒

水は人間の体を維持するために必要な物質であり、体の60(50~70)%を占め、水を飲み過ぎても害はないと思う人は多いだろう。しかし、精神疾患の患者の中で水を過剰に毎日摂取し、その結果、症状や予後を確実に悪くし、場合によっては死亡するような患者がいるのである。すなわち水中毒である。水中毒は非常に忌まわしい病態である。精神科医にとってこれほどやっかいな病態はない。精神科医の間では水中毒はよく知られている病態ではあるが、患者やその家族には殆ど知られておらず、全く自覚されず、水中毒が放置されているケースが多い。水中毒という病態があることを理解させるために患者・家族教育が必要になることが多々ある。
(水飲み大会で女性が突然死。水中毒は、このように突然に死亡することがある怖い状態です。)
 
 驚くべきことに、精神科に従事する看護師などの医師以外の他職種には知られていないことが多い。若い卒業したての精神科医もこの病態を経験していないと知らないことであろう。精神科のテキストにも記載されていないことが多い。外はだんだんと暑くなってきた。猛暑が近づいている。飲水量も増える時期である。今回は、この忌まわしき水中毒について触れてみたい。
 
 水中毒は、多くは慢性の状態である。当初は過飲水から始まり、次第に飲水量が増えていき、最終的には慢性水中毒として固定する。いったん水中毒として固定してしまうと、水中毒から抜け出すことは容易ではなくなる。薬剤抵抗性の精神症状を呈し、さらに、低ナトリウム血症が進行し、低Na血症が重度となれば血清Na濃度は110mEq/L未満となり死の危険性が迫る(120mEq/Lでも既に死亡の危険率は10%もある)。しかも、多飲は患者から申告されることは決してない。主治医やナースや家族が気づくしかない。水中毒は決して見逃してはならない病態である。
http://www.ucsfcme.com/2012/slides/MDM13P01/15.Anderson.PearlsHypnoatremia.pdf 
 
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テレビで、水を飲まないと血液ドロドロの映像を繰り返し見せつけられてきたことを思えば・・さもありなん。
 
きれいなモデルさんが、一日に何リットルも飲んでいるとも繰り返し、報道されてきた。
 
成る程・・
こういうワケだったのか・