「主権回復の日」を「屈辱の日」として捉える方々に欠如していること

「主権回復の日」を「屈辱の日」として捉える方々に欠如していること

戦後、「式を執るべき行事」でありながら、日本国政府がサボってきたことのひとつに、「主権回復の日・記念行事」があったと思います。この際、記念行事とは、お祝い事というよりは、「過去の出来事•人物などを思い起こし、心を新たにすること」と捉えたいと思います。

本日、ようやく政府主催による記念行事が、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ実施された事は歴史的な事だと思います。戦後とはいつからか?昭和20年8月15日以降と理解している日本人が大多数だと承知しています。かく言う私も、大学3回生までそのひとりでした。昭和27年4月28日サンフランシスコ講和条約発効以降が戦後であり、それ以前は米国の占領下、つまり敗戦処理中であったという史実を、日本人の常識から消された事は誠に遺憾であり、流石は植民地政策のプロが成せる技だと感服してしまいます。

国家の3要件とは「主権・領土・国民」であります。7年間、主権が回復されていない以上、国家としては成立していなかった時期であるという事を確認し、どのような背景があって主権が回復されたのかという史実を、毎年記念行事の中で心を新たにしなければならないのです。

本日私は、京都大学中西輝政先生、尊敬する江崎道朗研究員他、皆さんと長時間時間を共にさせて頂きました。私なりに主権回復の日に心をあらためました。頂いたお話のエッセンスを交えながら、以下、長尾たかし流に総括したいと思います。

本日安倍総理は、「沖縄が経てきた辛苦に深く思いを寄せる努力をするべきだ」と述べ、本日を「屈辱の日」と捉える方々への配慮を見せました。これはこれで当然の事だと思います。政府として公にその意志を示したという点でも大いに評価されるべきものと思います。だからといって、記念行事そのものの存在を、真っ向から排除し、抗議を行う行為を、私は支持出来ません。何故ならば、沖縄をはじめとする、奄美諸島小笠原諸島への配慮だけが、振り返るべき事ではないと思っているからです。

何故、主権が回復出来たのかという背景を確認し、心を新たにする必要があるからです。記念行事に抗議する方々の心の中にはそれらが欠落しているのです。

昭和天皇マッカーサーに面会をされた時の史実は皆さんご存知だと思います。昭和天皇が命乞いに来ると思っていたマッカーサーですが、自分のお命と引き換えにしてでも日本国民を守って欲しいと陛下に懇願されたマッカーサーは心打たれるのです。昭和天皇は全国巡行をお始めになります。当然占領下ですから進駐軍の関係者の同行があります。戦争に負けた直後国民の前に特段の護衛もつかぬ状況下で全国巡行された昭和天皇ですが、進駐軍昭和天皇の身の危険を危惧していたそうです。家族が友人が戦渦の犠牲になり、敗戦という現実により生活がどん底国民感情が爆発しないかと。しかし、何処へ行っても昭和天皇を拝み、心から歓迎する日本国民の姿を見て、米国は天皇と国民の関係、つまり「国体」の存在について衝撃を受けたのです。

時同じくして、アジア諸国から一刻も早い日本の独立を望む声が上がりました。インド、フィリッピンスリランカインドネシアビルマなどです。日本が欧米列強と戦ったことがきっかけで、何百年もの長きに渉って続いた植民地から独立出来たという国々からの声です。

マッカーサーは当初、日本を50年間は占領下におこうと考えていたようです。しかし、昭和天皇のお人柄、国民との密接な繋がり、独立を望むアジア諸国からの声。もしも、日本がこのまま米国の占領下の中で国家として弱体化するならばアジアの安定は確保されるであろうか?中国、ソビエトなどの共産国家、社会主義国家と太平洋を挟んでどう対峙したらよいのかを考えたとき、日本に対して一刻も早く主権回復をさせ、米国にとって有利な場所とする方が得策ではないかと考えたのです。よって、占領は7年間で終わったのです

米国が日本の主権回復を許すというのは、米国にとって国益につながるかどうかという問題だったとは思います。占領下ですから、致し方ありません。歴史の悲劇です。しかし、理由の如何を問わず、我国の主権が回復され、国家として戦後を歩む事が出来る環境となった事は事実なのです。その中で、沖縄、奄美諸島、小笠原の悲劇が存在した事を、あわせて忘れてはならないのです。

主権が回復されたその背景には、昭和天皇の存在、そして欧米列強と戦って命を落とした先代達のお陰さま、あの苦しい時代を生きてこられた先代日本人の高貴な想念、理念、実行、成果があったという事を、日本国民として本日この日に毎年感謝出来る日にしたいと思うのです。

「屈辱の日」として抗議する気持ちはわかります。しかし、それだけでいいのでしょうか?もっともっと沢山の、忘れてはならない事、先祖に感謝しなければならない事、忘れてはならない悲劇があるのではないでしょうか?そして、これらを次の世代に我々現役世代が史実を語り継ぐ義務があるのではないでしょうか?因に、江崎さんが「民主主義最大の欠陥は、生きている人にしか選挙権がない事」とおっしゃっていました。重みのある言葉です。我々生きている有権者は、先代達の心をも背負って今を生き、次世代にこれを継承しなければなりません。

だから、「主権回復の日・記念行事」は国家として必要なのです。
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戦争に負けた日本が、7年もの間は、アメリカに占領されていたこと。
 
そして、主権を回復できたといっても、アメリカの利益に叶うことが条件。
 
それならば・・・
 
日本を占領したこともない韓国を嫌い、何故、アメリカを嫌わないのだろうか・・?